JRC蘇生ガイドライン2025
救急蘇生の現場を支える基本のガイドライン
「JRC蘇生ガイドライン2025」の書籍版が2026年7月13日に発刊の運びとなりました。現在、医学書院ホームページはもちろん、Amazonおよび楽天ブックスにて、ご購入が可能です。
発刊をお待ちいただいていた皆さまには、長らくお待たせすることとなり心よりお詫び申し上げます。ぜひ購入をご検討いただき、お手に取ってご確認いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

JRC蘇生ガイドライン2025
一般社団法人 日本蘇生協議会(監修)
著作権について
※「JRC蘇生ガイドライン2025」からの図表等の転載につきましては、医学書院にお問い合わせをお願いいたします。詳細は以下医学書院の転載許諾申請フォームのページをご確認下さい。
本ガイドラインの構成
- 表紙
- 序文
- 第1章 一次救命処置(BLS:Basic Life Support)
- 第2章 二次救命処置(ALS:Advanced Life Support)
- 第3章 小児の蘇生(PLS:Pediatric Life Support)
- 第4章 新生児の蘇生(NCPR:Neonatal Cardiopulmonary Resuscitation)
- 第5章 妊産婦の蘇生(Maternal Cardiopulmonary Resuscitation)
- 第6章 緊急心血管治療(ECC:Emergency Cardiovascular Care)
- 第7章 脳神経蘇生(NR:Neuroresuscitation)
- 第8章 ファーストエイド(FA:First Aid)
- 第9章 普及・教育のための方策(EIT:Education, Implementation, and Teams)
- 第10章 海外での課題
- 第11章 わが国の疫学とシステムの現状
- 第12章 救命処置に関する倫理と法
JRC蘇生ガイドライン2025 序言
5年に1回のJRC蘇生ガイドラインの改訂について,刊行に至るまでご尽力いただいた関係者の皆さまに深謝したい.日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council:JRC)は,JRC蘇生ガイドライン2025オンライン版(パブリックコメント用)を2025年10月22日(日本時間23日)に,国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation:ILCOR)の心肺蘇生に関わる科学的根拠の国際コンセンサスと治療推奨(International Consensus on Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care Science With Treatment Recommendations:CoSTR)2025と同時に公開した.外部委員の方々からのコメントや11月30日を締切として募集したパブリックコメントを反映した編集作業を行い,ここに最終版である書籍版が完成した.
蘇生ガイドラインはILCORによる国際的に標準化されたエビデンスのCoSTRに基づき,世界の各地域や国がそれぞれの実情に合わせて作成するものである.ILCORは2005年に初めてCoSTRを発表し,その後5年ごとにCoSTRを改訂してきたが,ILCORに参画する各地域や国の蘇生協議会はそれに合わせて5年ごとにそれぞれの蘇生ガイドラインを作成してきた.
2017年からILCORは迅速な対応をするため,重要なトピックごとにエビデンスの網羅的検索(SysRev)とエビデンス評価を行って,その都度論文化し,タスクフォースによりCoSTR作成を行うことになった.毎年,ILCORはその年に検討したトピックについてCoSTRのサマリーを発表し,重要なトピックについては5年を待つのではなく迅速に推奨と提案がなされることになった.このILCORによる方針の変更を受けて,その都度ガイドラインを改訂(アップデート)する方法と,これまでどおり5年ごとに改訂する方法のいずれを選択するのかは各地域や国の蘇生協議会の判断に委ねられることになった.また2015年から採用された国際的なガイドライン作成方法である Grading of Recommendations Assessment,Development and Evaluationシステム(以下,GRADE)は継続して使用され,本ガイドラインも2015年,2020年と同様にGRADEを使用した.
欧米に比べて遅れていたわが国の心肺蘇生への取り組みについて,特に最近20年間の進歩はめざましく,その遅れを取り戻し,普及や研究において海外をリードする領域もみられるようになった.その要因には,JRCの設立,わが国を中心としたアジア蘇生協議会(Resuscitation Council of Asia:RCA)の設立とILCORへの加盟,CoSTR作成への関与,市民への自動体外式除細動器(AED)使用の解禁と普及,さらには地域ウツタイン登録から総務省消防庁による全国登録による院外心停止大規模データベースの構築と,その解析による多くの研究者からの院外心停止に関するエビデンスの国際発信などが挙げられる.またそれを支える科学研究費による支援,そして胸骨圧迫のみのCPR,体外循環式心肺蘇生や体温管理療法など,わが国が得意とする分野における研究成果の発信などが挙げられる.これらの活動をもとに,わが国においてもこれまで2010年,2015年,2020年とILCORのもとで国際連携による世界標準のJRC蘇生ガイドラインを作成してきた.
JRCはRCAの方針に沿って,2017年以降も5年ごとに蘇生ガイドラインを改訂する方法を選択した.その間は,毎年のCoSTRのサマリーを翻訳し,内容についてJRCの解釈を加え,次回の改訂におけるガイドライン変更の必要性をホームページで公開することとした.その理由として,ガイドラインの作成とその実践にかなりの時間,努力およびリソースが必要であること,また,ガイドラインの頻繁な変更によって生じる可能性のある混乱を考慮した.最終的にはこれまでどおりJRC蘇生ガイドラインの発刊は5年ごとに行うことにし,前回の2020年に続いて,今回のJRC蘇生ガイドライン2025の作成に至った.
ILCORでは独立したタスクフォースを設けていないが,JRCは独自の作業部会でGRADEシステムを用いてエビデンスの評価を行い,妊産婦の蘇生,緊急心血管治療,脳神経蘇生についてのガイドラインも作成した.緊急心血管治療は2020年までの急性冠症候群に心原性ショックと不整脈への対応を加えたものである.
本ガイドラインを,わが国での救命率のさらなる向上のために,蘇生科学の進展,市民と医療従事者への救急蘇生の標準化と普及啓発に役立てていただくことを切望する.多忙のなか,日夜問わずガイドライン作成にご尽力いただいた,編集委員,共同座長,顧問をはじめとした作業部会員の先生方,外部評価をいただいた学会からの専門委員,市民代表委員,法律家,利益相反委員,ご指導いただいたGRADE専門家とライブラリアンの先生方,また Minds Tokyo GRADE Centerの先生方のご指導に感謝申し上げる.この間,作成支援をいただいた医学書院の皆さまに,また常に作業を支えていただいたJRC事務局の皆さまに深謝する.
2026年 6月
一般社団法人日本蘇生協議会代表理事
JRC 蘇生ガイドライン2025 編集委員会委員長
坂本 哲也